おすすめボーカリスト第4弾。私的には満を持してのご紹介!
ジャパメタブームが巻き起こった80年代、サイクロンの如く駆け抜けた伝説のバンド「VOW WOW」。活動期間は短く発表した作品も僅か。それでも彼らの音は色褪せない。
中でも、ボーカリストを務めていた人見元基氏の存在感は群を抜いて圧倒的。ロックというジャンルにおいて、彼の様なボーカリストは世界中を見渡しても中々いない。ホント大袈裟でもなく。
初めて彼の歌声を聞くと、間違いなく「癖が強い」と敬遠してしまうでしょう。私もそうだったので(笑)。ですが、規格外の歌唱力、唯一無二の強烈な個性、それに気づいた時には彼の虜になっていると思います。
それでは、人見元基ワールドへとご帯同ください!
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Contents
人見元基 Genki Hitomi
プロフィール
■パーソナルデータ
・本名 人見典明
・生年月日 1957年10月1日
■略歴
・1983年 NOIZでデビュー
・1984年 VOW WOW加入
・1989年 渡英 活動拠点をイギリスに
・1990年 VOW WOW解散
以後、第一線から退き高校の英語教師に。
時折、様々なアーティスト作品にてゲスト参加的に数曲を担当するなどしている模様。
NOIZ
VOW WOWの前にNOIZというバンドでデビューした人見氏。NOIZは聴いたことなかったので、これを機に入手してみようかと考え調べてみると、超プレミア価格に!(笑)。
アルバムを1枚出して解散したみたいです。ジャンル的にはポップ調のオールドロックでしょうか?そういうスタイルの人見氏も聴いてみたかった所ですが、一先ずオアズケ。
VOW WOW
ギタリスト山本恭司氏を筆頭に新メンバーを加え、BOW WOW→VOW WOWに改名。
ハードロックを基調としていますが、そのサウンドは唯一無二。このメンバーだからこそ出せた音です。他のバンドではあまり聴くことができない重厚なコーラスや、キーボーディスト厚見玲衣氏の存在も大きいです。
アメリカ進出が果たせず、スパッと解散。活動期間は約6年、短くも内容の濃い「本物」の良作を数多く残してくれました。でも、正直もっと聴きたかったなぁ~。
そのセンターに君臨した男、人見元基、まさしく最強です(笑)。
ボーカルスタイル
VOW WOWの音楽はハードなものでしたが、単なる”ハードロックボーカリスト”という枠には収まりきらないスケールの大きさ、違いを感じます。何を歌おうが「人見元基」となるでしょう。
声質は太く、ハイトーンの領域でもパワフルなまま。どんな高いキーの楽曲でも説得力を失うことなく聴衆に届けることが出来ます。また特徴的なのがビブラートで、ミックス成分を多めに含んだ彼独自のものです。
一聴して癖が強いと思われがちですが、楽曲によりその印象は大きく変わります。人見氏は楽曲ごとに多彩に表現を変化させていて、特にバラード調の曲における歌唱法は鳥肌ものです。
低く唸るようなトーンから、煌びやかで伸びやかなトーンまで、彼のボイスは魅力に溢れています。
史上最高?
知る人ぞ知る「史上最高のボーカリスト」という評価に異論はありません。ですが、知る人ぞ知る、と言うのがすごく残念ですね。若い人達や、ボーカリストを目指す方にはマジ聴いてもらいたい!
ただ、自身を失くすかもしれませんが・・・(笑)。
後、お気づきかもしれませんが、私はタイトルを史上”最強”とさせて頂いております。”最高”というより”最強”の方がなんかしっくりくるんですが、私だけだろうか(-_-;)
“最高の”と言われると、真っ先にロジャース大先生を思い浮かべてしまうのも一因なのでございます。
このアルバム、この曲を聴くべし!
VOW WOWからのセレクト+αになります。現時点で知っているものを濃密にお届けしていきます。チョイ参加作品は流石に追いきれてません。入手し次第、順次追加していければと考えてますm(__)m
山本恭司特集の時と被っちゃう曲もあるかもしれませんが、今回はガッツリボーカル目線でセレクト。
それでは、いってみよー!
VOW WOW (1984~1990)
Beat of Metal Motion (1984)
●「Too Late To Turn Back」
●「Beat Of Metal Motion」
1stアルバムからはこちらの2曲をピックアップ。
「Too Late To Turn Back」はキーボードの音色が見事に融合したVOW WOWロック!ボーカルは終始ハイトーンで歌い上げています。癖もなく、人見氏にしてはナチュラル系ボイスで聴きやすいです。特に楽曲の絞めが最高です!
「Beat Of Metal Motion」はVOW WOWの音がどういうものか、色濃く現れている楽曲です。コーラスを多く用いることで、独特でありつつ厚みのある新鮮なロックサウンドです。人見氏の太い声でありながら、とてつもなく抜ける高音部はいつ聴いてもため息が出ます。
他にも日本語で歌われている楽曲が何曲かあるんですが、正直違和感ありまくり。人見氏は絶対英語!ですが日本語詞の曲はこのアルバムでしか聴けませんので、ある意味貴重な作品。
Cyclone (1985)
●「Hell-Raisers Wanted」
●「Love Walks」
●「You Know What I Mean」
2枚目のアルバムにしてこの完成度。やはりメロディメーカーの山本恭司氏の経験と実力があってこそ、ですね。このメンバーをまとめるのは大変だったと、どこかで見聞きした記憶がありますが。
「Hell-Raisers Wanted」は3連の曲で、ボーカルの力量がモロに出ます。人見氏の表現力は流石で、メロディが小節内を自由自在に飛び回っています。結構3連符にがんじがらめにされやすいんですよね。聴いてたらこの曲練習したくなってきた^^
「Love Walks」は濃いです、クセが凄いんじゃ~(笑)。ですがボーカリスト目線だとまさに「圧倒的」歌唱。前作では聴けなかった手法でパワフルに歌ってます。後のアルバムで「Love Lies」と歌詞を変えて再録されますが、個人的にはコチラが断然好み。
「You Know What I Mean」はバラードです。「Love Walks」などと比較するとよく分かると思いますが、全く違う発声をしています。ブレスコントロールで音質を変化させているんですね。ミックスバランスを自由自在に操れると、こういった表現もできます、というお手本です。
もちろん、アップテンポなハードロック調の楽曲もあり、非常におすすめの作品です。
VOW WOWⅢ (1986)
●「Shock Waves」
●「Nightless City」
●「Signs Of The Time」
●「Stay Close Tonight」
このアルバムも素晴らしい!ちょっとマニアックな曲もセレクトしてみました。
「Shock Waves」は自信を持って名曲だと言えます!こんな音作れるバンド他にいないでしょ。この楽曲の核は、キーボードの厚見玲衣氏とボーカルの人見元基氏。厚見玲衣氏の旋律は、映像が浮かぶ程に美しすぎます。楽曲の大切なイントロで、物語の序章を強烈に感じさせてくれます。
そして人見元基氏のボーカル。1番では見事な抑揚で優しく歌い、2番で実音成分を多めに発声し徐々に上げ、ブレイク後の最後のハイトーンは圧巻の一言。これは歌えないよ、脱帽。
「Nightless City」は3連のノリの良い曲、代表曲です。この人の喉はどうなってるんですかね?ブレスコントロールだけでなく、喉も巧みに使い音色を変えています。それも超高いキーでです。この楽曲では、そういった人見氏の技術的な高さをじっくり聴くことが出来ます。
「Signs Of The Time」は人見氏の声とメロディが見事にマッチした美しく気持ちいい曲。ナチュラルボイスで歌われており、凄く聴きやすい。ハードロック目当てで聴くとスルーされがちなミディアムロック。実は隠れた名曲だと思っています。単純にイイ!
「Stay Close Tonight」はパワー感溢れる歌唱を堪能できます。ただ何よりも楽曲構成が魅力的。ある程度の流れとサビ以外は自由に歌ってね、的な感じがします。1番好きなのはサビのメロディで、聴けば聴くほどクセになっていきます。でも、VOW WOW初心者には敷居が高いかもねー(-_-;)
改めて聴き返すと、良曲揃いの素晴らしいアルバム。これもオススメ!
Hard Rock Night (1987)
こちらはライブ音源です。ハッキリ言って録音状態はよろしくない。ステージのどこで収音したんだ?それでも生元基を聴ける貴重なアルバムですが。
そのパフォーマンスですが、ライブでも変わらず素晴らしい!彼が”ホンモノ”だというのが分かります。否、VOW WOWそのものが。高レベルの演奏技術ですね~。
終盤になってもそのパワーは衰えることなく、見事に歌い切ってます。マジ何なの!凄すぎだよ人見元基。更にボーカルソロなんかもあって非常に楽しめます。正直そのソロはいまいちだけど。
ライブDVDも数枚リリースされていますので、そちらの方もかなりオススメです。
V (1987)
●「The Girl In Red」
●「Cry No More」
●「Don’t Leave Me Now」
私が初めてVOW WOWを聴いたのがこのアルバム。バンドマンだった当時、ギタリスト君が「これコピーするから」と手渡してきた本作。最初はクセが強すぎると感じ、あんま乗り気じゃなかった。
「The Girl In Red」が最初にコピーした曲。人見氏にしてはキーが低めで歌いやすい部類。VOW WOW独特の世界観はガッツリありますけど。思えばハードロックを演ったのもコレが最初だったかも。当然のことながら、歌えば歌う程彼らの音楽にどっぷりハマっていくことになり、人見元基というボーカリストを猛烈に尊敬、憧れの対象となっていくのでありました。
「Somewhere In The Night」もすぐ後コピーしましたが、こっちは難しかったなぁ(-_-;)
「Cry No More」はバラード曲。これも厚見氏の切ないイントロがたまりません。人見氏の表現力はこのバラードでも強烈で、マジ感動できます。VOW WOWのバラードは数自体多くありませんが、全てが別次元のサウンド。この曲はホント滅茶苦茶聴きまくりましたよ。こういうのを真似しまくるだけで、ボーカリストの人達には大きな財産になると思いますよ。
「Don’t Leave Me Now」は非常に聴きやすく、VOW WOW入門におすすめ。パワフルなハイトーンを伸ばしきった絞めに、彼独特のビブラート。この曲の後半部でも聴くことが出来ます。
全体的にリバーブが深めにかかっており、ボーカルの音像が少しぼやけている感はあります。この辺は時代を感じてしまいますね。
Revive (1987)
こちらはミニアルバム。リミックスされた別バージョンの曲が5曲。「Don’t Leave Me Now」が2バージョンあるので正確には4曲収録。
ファンのコレクターズアイテム的な位置付け。今思うとこのアルバム必要か?(笑)
ただ「Cry No More」はやっぱり秀逸。今バージョンの1番はキーボードとボーカルだけですので、しっかり人見氏の歌声を聴くことが出来ます。なんかリバーブは深くなってますけど^^
VIBe (1988)
●「Rock Me Now」
●「You’re The One For Me」
「Rock Me Now」はミディアムテンポのポップロックチューン。雑味の無いスッキリとした王道ロック故、コアなファンからすると物足りないと感じるかもしれませんね。最もVOW WOW”らしくない”とも言えますが、ライブ演奏時はこの曲凄く光るんですよね~。聴くも良し、ノルも良し、歌うも良し!
「You’re The One For Me」はハネ系。作曲は厚見玲衣氏で、見事な構成とメロディライン。リズム隊もいいノリ出してますわ。人見氏はシャッフルナンバーを歌わせても超一流。パワーを抑えめにして、軽快に気持ち良く歌い上げております。
ボーカルがもう少し前に出てもいいかな、と感じますが、このアルバムのミックスは中々良好。バランス良く各楽器の音も聴こえ、楽しむことが出来ます。
Mountain Top (1990)
This is the 名盤!!
間違いなくそう言えるのですが、残念なのはミックスですね。巨匠ボブ・エズリンを迎え~とかありますが、こと、このアルバムに関しては個人的には不満。リズム隊がペラペラで、VOW WOWの重厚なサウンドが小さく纏められた感じがします。
しかし、最近Blu-Spec CDで再販されているのを知り、Amazonで視聴するとグレイトだよ!無くなる前にすぐ買おっと(笑)。ということで、買うならBlu-Spec CDを!
さて、このアルバムはVOW WOWの最後の作品になりますが、名曲揃いです。おすすめはほぼ全曲。順に見ていきたいと思います。長いよ!^^
「Mountain Top」はスケールの大きいミディアムテンポの曲。ザ・山本恭司というサビメロディが素晴らしい。人見氏の伸びやかな高域もバッチリ!「Black Out」はアップテンポのハードロックナンバー。2:50と短いですが、ギターが心地よく唸っており、キーボードとの掛け合いなんかもあります。
「Move To The Music」はSlaghter(スローター)というバンドのカバー曲。VOW WOWらしくアレンジされており、グレードはコチラの方が断然上。ボーカルの力量差もありますからね。
「Love Someone」はバラード。そんじょそこらのバラードではありません。非常に美しいメロディラインと、それを表現する人見氏の圧巻のボーカル。前半は一般的なキーの高さで誰でも歌うことは可能でしょうが、だからこそ分かるこの人の上手さ。ただただ敬服し感動。
「Speed」「In The Night」はハードロックチューン。どちらも割と王道な構成で聴きやすく、メロディも秀逸。人見氏の超ハイトーンシャウトが炸裂しております。歪ませてもクリーンでも、どちらでもシャウト可能なチョット信じ難いボーカル力です。
「So Far, So Good」はシャッフル。こちらも聴きやすくノリノリ。今作はアメリカ進出のための作品という事もあり、全体的にこれまでの様な”アクの強さ”は影を潜めています。逆にそれが新鮮で良い結果を生んでいるとも言えます。
「I’ve Thrown It All Away」はロックバラード。「Love Someone」の歌い方との違いに注目。同じバラード調の曲でもこうも音色を使い分けられるとは。これこそが真の表現力というもの。
「Tell Me」「I’m Gonna Sing The Blues」はシングルCDとして先行リリースされた楽曲です。このアルバムではおまけ的な要素かと思いますが、どちらもクオリティ半端ない。
「Tell Me」は人見節全開でありながらキャッチーで洗練された楽曲。この高レベルの曲を作れる状態でありながら解散したのは、本当”もったいない”としか言いようがない(´;ω;`)ウゥゥ
そして「I’m Gonna Sing The Blues」。VOW WOWの最高のバラード。そしてVOW WOW最後のアルバムの絞め曲。クリーンボイスで歌われ、美しく伸びるハイトーンと人見ビブラート。
彼の歌声はこの1曲と共に、永遠に私の心から消えることはないでしょう。
Legacy (1990)
解散後すぐに出た2枚組ベストアルバム。21曲収録。
ツボを抑えた作りで、上記したおすすめ楽曲も結構入っております。更にボーカルメロディが、オリジナルと微妙に違う「別バージョン」も収録。いわゆる未発表曲もあります。
これはファンにはたまらないですね。廃盤となっていて入手方法は中古一択だと思いますが、お安いと思いますので見つけたらゲット推奨。
ただ音源やマスターが少し古いと感じる方もいるかもしれませんね。
また、1996年にはTwin Bestシリーズでも出ています。こちらは個人的には選曲が微妙。
Rock Me Forever (2006)
最新の2枚組ベストアルバム。EMIさん、ホントあざーっすm(__)m
リマスターされ音圧もアップ、平成生まれも安心して聴くことが出来ますぜ。ただリミックスではないので、サウンド自体は変わっておらず、「Mountain Top」の曲は相変わらずドラムペラいぞ!
こちらの選曲はかなりグッドで、今回私がおすすめ曲としてピックアップしたものも、ほぼ入っとります。30曲収録とボリュームもたっぷりです。
特筆すべきは「Shock Waves」のライブバージョンが入っていること。山本恭司氏のギターの”凄み”をとにかく感じてもらいたい。オリジナル版との大きな違いがそこにあります。
ライブ演奏ならではなんでしょうが、泣きじゃくっております。生で聴いたら絶対鳥肌もんでしょうな~。フィードバック奏法を、ちょいシクってる感が無きにしも非ず^^
ゲスト参加作品
Rock’n Roll Standard Club(1996)
●「Move Over」
●「Communication Breakdown」
松本孝弘作品。人見氏が音楽業界から退いた後、久しぶりに彼の歌声を聴けた作品。実は購入して聴いてみるまで、人見氏が参加していることは知らなくて、「Move Over」が流れた瞬間飛び起きました =(っ゚⊿゚)っ!
こんなん一発で彼だと分かりますよ!まさに唯一無二の圧倒的個性と存在感。
「Move Over」はジャニス・ジョプリンのロックナンバー。ブランクも女性シンガーの音域も何のその、全盛期では無いにしても見事な歌いっぷり。ああ、やっぱ人見元基最高やなぁ~、としみじみ思いました。
「Communication Breakdown」は言わずと知れたツェッペリンの曲。これ滅茶苦茶キー高いですよ。高音が少しかすれ気味ですが、楽しそうにラフに歌ってる姿が目に浮かぶので良し。VOW WOWではあまり聴かれなかった、歪んだシャウトも有難いです!
この作品はかなりマイフェイバリットです。この頃の”モダンじゃない”松本氏の音が好きなんですよね~。個人的に大好きなFreeの曲が入ってるのもグッド。生沢さんもかなりの実力派で聴き応え十分。
まとめ
今回でついに、日本ハードロックバンドの代表的ボーカリスト3人をご紹介することが出来ました。
「LOUDNESS」の二井原実
「EARTHSHAKER」の西田昌史
「VOW WOW」の人見元基
彼らももう60歳近く。一時代を築きなお今も輝きを放ち色褪せない。それぞれがオリジナルの個性を持ち、時に繊細に時にパワフルに音を奏でる、真に”ホンモノ”だと言える数少ない素晴らしいボーカリストたち。
現在、ロックボーカリストを目指す希有な皆様、是非一度彼らのボイスを体感してもらいたい。そしてその魂を宿したカッコいいボーカリストの出現を私は待ち望んでおりますです、ハイ。
それにしても、こういう特集記事を書くたびにCDが増えていってる(笑)。今回もこの記事書きながら「Mountain Top」と「Ⅲ」のBlu-Spec CDをオーダー。楽しみだよ♪
まだ日本人ボーカリストで紹介したい方もいますし、海外のグレイトボーカリストもわんさか。ボーカリスト特集は、緩いペースですが、続けて行きたいと思っとります。
主にロック、ハードロック系ですが、是非次回もお楽しみに~ノシ