ドラマティックなメロディラインこそが真骨頂!「Vinnie Moore」

おすすめギタリスト第三弾。今回はVinnie Moore!

テクニカルギタリストとしてシュラプネルレコーズからデビュー。数多くのギタリストを輩出した、マイク・ヴァー二ー率いる一世を風靡したレーベル。

当時のスタイルはその他大勢と同じく、クラシカル系の速弾きプレーヤーという印象。よって飽和状態のそのジャンルは正直飽きやすく、彼を別に”特別”だとは思いませんでした。

しかし、ソロアルバム「Out Of Nowhere」で彼のプレイスタイルの幅広さを知り、以来お気に入りギタリストに見事に昇格^^

現在はUFOにて、バンドのギタリストとしても活動していますが、ハッキリ言ってあんまり良くない(-_-;)よってソロ作品中心にご紹介させて頂きます。

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Vinnie Moore ヴィニー・ムーア

プロフィール

・本名 : Vincent Moore (ヴィンセント・ムーア)
・生年月日 : 1964年4月14日
・出生国 : アメリカ

デビュー前の事は、正直あまりよく知らないのですが、彼の名が正式にメジャークレジットされたのは1985年のVicious Rumorsというバンド。1stアルバム「Soldiers of the Night」のみ!

その翌年、1986年には1stソロアルバムをリリースし、注目を集めることになります。

その後も順調にソロ作品を発表しつつ、1991年にはアリス・クーパーの「Hey Stoopid」にて2曲をプレイ。このアルバムには、スラッシュ、スティーヴ・ヴァイ、ジョー・サトリアーニといった名だたるギタリストも参加しています。

2003年にはマイケル・シェンカーで有名なバンド、UFOのリード・ギタリストに。現在も在籍し活動する傍ら、精力的にソロ作品もリリースしています。

シュラプネル・レコーズ

シュラプネル・レコーズの創始者、マイク・ヴァー二ーが輩出したギタリストは数知れず。その中には超メジャーになり、確固たる地位を築き上げたプレーヤーもいます。

例を挙げると、ポール・ギルバート、ジェイソン・ベッカー、リッチー・コッツェン、グレッグ・ハウ、トニー・マカパイン、マーティ・フリードマンなどがそうですね。

皆さんも彼らの名を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

かのイングヴェイ・マルムスティーンもマイクに見出された事が、音楽人生をスタートさせるきっかけとなっています。ただし、彼はシュラプネルには所属せず我が道を行きましたが。

ネオクラシカル

ネオクラシカルというワードを目に、或いは耳にするようになったのは、シュラプネルの台頭と時期を同じくします。シュラプネル=ネオクラシカルという図式は決して大袈裟ではないかと。

クラシックをベースとしたテクニカルギタリストは正直死ぬほどいました。私も最初は飛びつきまくったのですが、徐々に飽き始めたのが事実。

クラシカルなギタリストの代表格、リッチー・ブラックモアやイングヴェイ、彼らを超えることが出来なければ、ネオクラシカルというスタイルのみで生き残れるハズはありません。

膨らんだものは必ずしぼむ。多彩なプレイスタイルを持つ者だけが、残るべくして残っているといった感じ。ヴィニー・ムーアも言うまでも無くその内の一人です。

このアルバム、この曲を聴くべし!

ここからはヴィニー・ムーアのオススメ楽曲をご紹介していきます。

私自身全てを網羅している訳ではありませんし、発表作自体も多くありませんので、今回はサクッと短めになると思いますよ。

Mind’s Eye (1986)

●「Lifeforce

記念すべき1stソロアルバム。基本はネオクラシカル路線ですが、所々で後の作品でも聴かれる様な、彼の様々な音楽性が見え隠れしています。キーボードにトニー・マカパイン(笑)。

で、この作品の中で一番カッコいいと思うのが5曲目の「Lifeforce」。

最初の低音弦を使ったフレーズは、御大ブラックモア先生がどこかで弾いていたような気がしないでもない。ドラムインした後のど頭のフレーズがめちゃくちゃ好きですね。

ただ全体的にやはり”テクニカル・ギタリスト”というのを前面に出している作品ですので、小節の中に音が詰め込まれ過ぎている感じです。

精密機械と言われる彼のプレイを堪能したい方は、要チェック。

Time Odyssey (1988)

●「Pieces Of A Picture

1stからたいして時間が経ってないので、前作と同じ流れを汲む作品。よって音数の多いネオクラシカル・ギター・インストゥルメントです。それ以上言いようがない(笑)。

正直普段聴くことはほぼありません。私が好きな彼の特徴は、歌メロのような楽曲構成で、聴きやすく印象に残るメロディをまさしく”ギターで歌える“ところ。

As Time Slips By」「April Sky」といったスローテンポの楽曲ではそういった部分を聴くことができますが、構成やアレンジが単調で、マッタリ気味。

おすすめとして「Pieces Of A Picture」をチョイスしましたが、クラシカル系ではありません。私が思うヴィニーらしさを随所で聴くことができる楽曲です。

Meltdown (1991)

●「Meltdown
●「Let’s Go

前作までのネオクラシカル路線から一新。ロックテイストに溢れたインスト作品になってます。実はこの作品はリアルタイムではスルーしていて、極々最近購入しました。

1曲1曲はギターの音も良く、素直にカッコいいとも思えるんですが、トータル通して聴くとやはりまだメロディが弱い印象を受けます。変化に乏しいとも言えますね。

おすすめの「Meltdown」はタイトルチューンで、このアルバムがどういうスタイルなのかはコレで分かります。ミディアムテンポで気持ちいい程のロックサウンドです。

続く「Let’s Go」はバッキングが好きですね。ハネてます。スウィープなどテクニカルなプレイも聴くことが出来ます。まぁこの2曲だけ聴けば十分、みたいな所も無きにしも非ず(-_-;)

今作は以降の作品に続く、彼の”序章”的作品と言えるかもしれません。

Out Of Nowhere (1996)

ハイ、来ました!名盤1枚目です。

クラシカル系ではなく、テクニカルを前面に押し出したものとは一線を画す。方向性は、前作「Meltdown」と同じだと思いますが、1曲1曲のクオリティは段違いです!

楽曲も多彩で、ギターの美味しいサウンドが散りばめられています。当時はミュージックマンのギターに憧れたもんです。シルエットだったかな?高くて手が出せなかったけど(笑)。

With The Flow」「VinMan’s Brew」はアップテンポな楽曲ですが、これまでのような速弾きフレーズをたっぷりと詰め込んだものではなく、まず楽曲ありきだというのが分かります。

Echoes」「From Now On」では歌モノの様な構成で、ギターで歌っている感じ。こういうのはジョー・サトリアーニ先生が得意ですが、しっかりヴィニー色は出てますぜ。

クランチサウンド、ドライブサウンド、カッティングやアコースティックまで、多彩な音、プレイをたっぷりと堪能できる本作は、ヴィニー入門に超絶オススメです。既に廃盤かもしれませんが、中古なら安く入手可能でしょう。

念押ししときます。クラシカルではなく、ロックです!

The Maze (1999)

ハイ、どうぞ!名盤2枚目です(笑)。

前作「Out Of Nowhere」とはまた違う、新しい、というか更なる進化を遂げたヴィニー・ムーア。今作で最も特筆すべきは、私が思う彼の魅力の1つでもある、メロディの秀逸さ。チョイと感動すら覚えました( ;∀;)

ちなみドラムはB’zのサポートドラマーとしても活躍中のシェーン・ガラース、キーボードはトニー・マカパインが担当しており、バックも盤石!

1曲目「The Maze」はクラシカルなフレーズで始まりますが、16符で刻まれる正確なそのメロディがカッコ良すぎ!またそれだけに終始している訳でなく、8:42という時間の中に、実に多彩なプレイが盛り込まれています。

The Thinking Machine」もクラシカルなメロデイを土台にしながら、ハードロックと見事に融合しています。粒のそろった彼のピッキング技術の高さに脱帽ですわ。

King Of Kings」は楽曲バランスを崩すことなく、サラッと弾いてるスウィープが気持ちイイ。
Never Been To Barcelona」はタイトルまんまのスパニッシュサウンド。こういう叙情的なメロディもヴィニーにとってはお手の物、というのが後の作品にも現れていきます。

バラード「Rain」。このアルバムの中では最も聴きやすく、そして美しい。無駄な速弾きなどありません。ギタリストとは”表現者“なのだという事に、改めて気付かせてくれる良曲。

In The Heading Garden」はヴィニー・ムーアの楽曲の中で、私が最も好きな曲。歌モノ構成に近く、イントロ、Aメロ、ブリッジ、サビ、といった流れなのですが、Aメロはまさに物語の序章、ブリッジの速いパッセージでグッと引き込まれ、そして最高のサビのメロディへと繋がります。これ初めて聴いた時は全身震え、この楽曲に出会えた事に誰にでもなく、心から感謝の気持ちが沸き溢れました。音楽よ、ありがとうと(笑)。

このアルバムは、私の人生における大切な1枚です。

Live! (2000)

ヴィニーのライブ演奏をたっぷりとご堪能あれ!

ほとんどが「The Maze」「Out Of Nowhere」からの選曲です。2ndギターを置いていないので、少し迫力に欠ける面もありますが、逆を言えばヴィニーの音のみをしっかり聴くことができます。

CD音源よりも音は丸く抜けが悪い、この辺は好き嫌いが別れそうなところではあります。

ヴィニーはエフェクターはワウくらいしか使わないそうですが、このアルバムもリバーブ効果とワウがちょこっと。

Rain」「Watching From The Light」といったスローナンバーが特におすすめ。

Defying Gravity (2001)

●「Last Road Home
●「If I Could

日本用のアルバムジャケットはグラフィカルなもので、海外のものとは違います。

内容は基本的には前作からの流れを汲んでいますが、今作では楽曲タイプが均等に並んでいる印象を受けます。ほぼほぼ、クラシカル系→バラッド系→スパニッシュ系、という曲順になってるのが面白いですね。

Last Road Home」は前作の「Never Been To Barcelona」に続いてのスパニッシュ系。イントロ部分を聴いた時は「前作超えれるわけね~のにヴィニーこういうの好きだなぁ」と正直思いました。

が、メインメロディに移行した所で「おおぅ!哀愁感たっぷりでめちゃくちゃいいじゃないか!馬鹿にしてごめんなさい」状態(笑)。ピンポイントですが、そのAメロの頭が最高です。

今作ではアンプラグドのスパニッシュ系の楽曲が他にも2曲収録されてます。やっぱ好きだな?^^

If I Could」は前半部分だけだと、ただのスローバラードギターという印象。しかし1:50辺りで展開が大きく変化し、次の章へ移行。3:15辺りまで続くこの部分の展開、メロディがたまらなく大好き!

他にも、ネオクラシカル系、ロック系のハードでテクニカルなものもありますので、それ目当てな方にも安心して手にできる作品だと思いますよ。

To The Core (2009)

なんと、国内未発売(´;ω;`)ウゥゥ

中古で見かけることも出来ますが、値段がべらぼうに高い!さすがに買おうという気は起らない。YouTubeなどでアップされてるようですが、著作権ものをそれらで聴いたら負けな気がする!

ということで、音源入手したら追記したいと思ってます<(_ _)>

Aerial Visions (2015)

●「Mustang Shuffle
●「Slam

まず一番最初に我が耳が反応したのはドラム(笑)。リッチー・モニカというドラマー、情報も少なく詳細は不明。重厚な音を叩き出すタイプではなく、軽快な音、ノリを刻むタイプ、かな。

ミックスも関係しているでしょうが、凄く生々しく、いいグルーヴ感を生み出していると思います。グッジョブb

今作はクラシカル要素はほぼなく、ザ・ロックサウンド。ノリのいいハネた楽曲では、リッチー・モニカのドラムが見事にマッチ。「Out Of Nowhere」に近いと思います。

1曲目のナンバー「Mustang Shuffle」はタイトル通りのハネ系。楽器奏者ならこのノリを出す難しさはよく分かると思います。それをサラリとやってのけるヴィニーはもちろん、バックが生み出すグルーヴがホント気持ちイイ!

Slam」は16ビートのカッティングが印象的なノリのいい曲。前半はガッツリ構築されたフレーズ、という感じではなく割とラフな感じですが、ブリッジからサビのメロディが素晴らしく、聴き入ってしまいます。

全体を通して聴くと、やはり土台となるべき楽曲がまずしっかりしています。その上で嫌味なく自然に彼のテクニックが溶け込んでいる印象です。ヴィニー・ムーアというギタリストのスタイルはこういうものだと、如実に現わしている良作なのは間違いない。

聴くほどに味が出る、おすすめの作品。

UFOについて

ヴィニーは現在UFOというバンドに在籍しています。
で、その1st「You Are Here」を購入したのですが、正直ガッカリしました(-_-;)

その理由は、過去彼がソロリリースした楽曲を”まんま使っている”ことです。数々の名曲たちを無理矢理ボーカルものにした感があります。それもアルバムの半分くらいあります。

初めて聴いた時、ワクワク感は萎えてしまった。ハッキリ駄作だと言おう!

後に数枚アルバムを出していて、徐々に形になっているのだとは思いますが、あんま興味が沸かないです。まぁバンドものになるとボーカルを重視してしまう所もありますので、その辺も理由ですけど。

まとめ

今回ヴィニー・ムーアをご紹介しましたが、アーティストを評価する時、書く側の人間がどういった視点から見ているのかがとても重要だと気付かされました。

これが様々な人のレビューが割れる理由だからです。例えばヴィニーの場合、私は彼の生み出すメロディが大好きなので、”楽曲”としてのお気に入りをご紹介しております。

ですが、ネオクラシカル系を求める人はクラシカルなギタープレイを、テクニカルなものを期待する人は、速弾きやスウィープなどがガンガン盛り込まれたものが好きでしょう。

Amazonレビュー等では、書いてる人の視点を分かった上でないと、★評価等は参考にならないと言えます。自分の視点に近い方のレビューが最も参考になり、好き嫌いだけで書かれているものは無価値ですね。

そういった感じで私なりの視点ではありますが、これからもグッドギタリストをご紹介していきたいと思います。次回に乞うご期待!ということでBye Byeノシ