PCでもギターをギターらしい音で楽しむために…

どうもー!お家で中々大きな音を出せなくて日々悶々としながらもヘッドホンなんか邪魔で付けたくないギタープレイヤーの皆々様方。

今回の内容はズバリ…

PCアンプ化計画!でございます。

モニタースピーカーからのサウンドはいまいちキャビ出しの様なリアル感が出ない。

今回はギタースピーカーから聞こえるが如く、PCギターサウンドの向上を図ろうと試行錯誤した奮闘記をお届け。結果は如何に!

問題点

基本

エレキギターの音は、

  1. エレキギター
  2. ギターアンプ
  3. キャビネット(ギター用スピーカー)

という流れで最終的にギター用スピーカーから出力されます。現在アンプやキャビネットというのはデジタル技術によりソフトウェア化され、非常に有用なツールになっています。

音の違和感と正体

しかしながら、キャビネットから“直で出てくる音”というのはどうやっても再現不能。PCから出力される音はモニタースピーカーから出ますから。

そしてソフトウェア全てと言っても過言ではないかと思うのですが、ほぼ必ずマイキングもシミュレートされていると思います。

近年では綿密に再現されたこの素晴らしいマイキングシミュレーションが、録音時には良くても、家練時には厄介なモノとなります。マイクというフィルターが掛かる訳ですから。

人によっては気にならないかも?ですが、これまで生キャビから音出ししてた私にとってはかなり違和感がある。いくら良いキャビシミュを試しても同じでしょう。

解決策

ではどうすれば良いのか、私は考えました。まず目標はモニタースピーカーからの音を、弾いてて納得の行く気持ちの良いサウンド、にする事。

その為に取れる手段なんて実際そんなにありません。私が出した答えも至極単純。PCギタリストの多くの方はきっと当たり前のように実践しているんでしょうなあ。

それはCDの音に近づける

よりリアルなソフトウェアを探すのではなく、音色自体を加工する方向に思考をシフトチェンジする事にしました。マイクで拾った音をそのままにせず、家弾き用の音色を作る。

モニタースピーカーのサウンドを強引に俺色に染めてやろう!と言う訳です。プラグインエフェクトを駆使して、ね。

使用機材&ソフト

実機

  • Synergy プリアンプ
  • Blackstar Amped1
  • MOTU M2
  • Yamaha MSP3

Synergy+Amped1の組み合わせが私の現在のメイン機材。キャビからの音出しも、インターフェイスに繋いでのPC録音も、ヘッドホンでのサイレントプレイもこなせます。

小型で機能面とサウンド面のバランスも良く非常にお気に入り。Synergyは真空管を搭載しておりアナログ好き人間のこだわりも満たしてくれます。

BlackstarのAmped1はパワーアンプとして使用。こちらはソリッドステートですが、豊富なサウンドバリエーションを生み出せるので大変重宝してます。

モニターはずっとYamahaの初期型MSP3。壊れてないし別に不自由もなく(笑)。価格と音とサイズ感と信頼性が絶妙のバランスなので私にはコレで充分。

ソフト

  • Bogren MLC S_Zero100
  • Cantabile Lite
  • Studio One

Bogren MLC S_Zero100

私が惚れたソフトウェアアンプシミュレーター。多数の製品をトライアルして最終的にコレを購入。昔は完全拒絶していたデジタルアンプですが、最近のはマジヤバ。

このアンプシミュは実機のエミュレーション。3ch仕様でクリーンからハイゲインまで何でもこなせます。“コレだけで充分”感が半端ない。

またキャビネット部分が非常に良く、他のモノと比較した上で群を抜いて私好み。簡易的な調整でも納得のいくサウンドにすぐ持っていける操作感も◎。

Cantabile Lite

プラグインソフトを使うには、DAWソフト内で立ち上げるのが一般的。しかし、世の中にはVSTホストアプリケーションという便利なツールがあるんですね〜。私も最近知りました。

私が導入したのはこの無料のCantabile Lite。VSTを自由な順番で配置でき、ラックの様な使用感で超便利。ギターを弾くためだけにいちいちDAWを立ち上げる必要はありません。

アンプシミュレーターの中にはスタンドアローンで動作するモノもありますが、Cantabileなら他社製のエフェクト郡も扱えるのでより高い自由度を得られます。

プラグイン選定

さて、ここからが大変。目指すは自身が納得のいく音。エフェクトプラグイン自体は無駄に貯め込んでいるので、トライアンドエラーを重ねるのみ。

実機の場合、Cantabile内にまずキャビネットシミュレーターを配置し、その後段でプラグインエフェクトを使用、音色を整えていきます。

アンプシミュレーターはCantabile内の先頭に配置し、実機の時と同じく後段にてプラグインエフェクトを掛ける形になります。実機もソフトもどちらでも楽しめる音作りが目標。

絞り込み

王道の手法としては、コンプレッサーやイコライザーなどでの調整ですね。職人の如く個別にプラグインを調整しサウンドを作り上げる…カッコイイけど実際難しいですよね〜。

取り敢えず常用しているお気に入りプラグインの中から良さげなヤツをどんどんチェック。コンプやEQ、チャンネルストリップなど様々試したところ、やっぱ操作性も結果もEQが一番良かったです。

選ばれしEQたち

ではでは今回フィーリングが良かった手持ちのプラグインをご紹介。ちなみに実機とアンプシミュレーターでは合うものと合わないものがそれぞれ違い、設定も異なるので中々に大変。

UAD Pultec EQP-1A
Waves API550B
Waves Scheps73
Waves VEQ4
Waves CLA Guitars
Waves Eddie Kramer Guitar Channnel
Focusrite Red 2
Acustica Auio Coral EQ
Tone Empire BlackQv3
Tone Empire RESQ

EQ以外にも最小限の操作で良好な結果が得られたその他プラグインも入れてます。どんな製品を持ってるかは完全に人によりけりですね。ここにあるものは正直どれも使える。そして意外にも?Wavesの製品群が良かった。

UAD Pultec EQP-1A
Waves API550B
Waves Scheps 73
Waves CLA Guitars
Focusrite Red 2
Tone Empire RESQ

最終的にコレがあればOK!なEQたち。重視したのは簡単に音作りできる操作性と質感。ぶっちゃけどれもイイ。ってか持ってるのアナログモデルばっかだな(笑)。

ベストセッティング

ではいよいよ現時点におけるマイベストPCギターセッティングの発表に行きたいと思います。また一応音源も用意しましたが、DAWでミックスしたものになります。

生演奏時と聴感上の違いは確かにあるので参考程度にお聞きください。またヒジョーに微妙な差なので違いがメチャ分かり辛いです。間違い探しのレベルだお。

使用ギターはOrville by GibsonのLPCです。

代表EQ

今回の代表者はこちらのEQ様。

Synergy、Bogren、どちらにも相性良く扱えます。また最近導入したのでちょい贔屓。UADもセールやらWin対応やら、し始めてくれちゃってますからね~。

ちなみにUADのDAWソフトであるLUNAもWin用のベータ版試用スタートしましたし、今後私自身UAD利用率は確実に増加していくと思います。とても嬉しい!有難い!

Synergy

Cantabile Lite
  • MLC S_Zero100 Cab
  • EQ プラグイン
  • Kazrog True Iron

SynergyにはUberschallモジュールをセット。そこからAmped1、そしてPCへ。キャビシミュはS_Zero100のモノを使用。様々試した結果、個人的にNo1でした。

Amped1はソリッドステートとは言えしっかりアンプなので低域が非常にパワフル。生演奏時には特にそう感じます。ただその低域は実に“美味しい”ので削りすぎず、高域をブライトにしキャビのフィルター感を取りたいですね。

Kazrog True Ironに関しては後述します。

サウンドチェック

素の音
play_circle_filled
pause_circle_filled
SynergyUb
volume_down
volume_up
volume_off

比較対象がなくコレ単体で聴くと良い感じに思えます。でもリアルタイムプレイ時のモニタースピーカーからのサウンドは結構こもって聴こえるんです。

ただS_Zero100のキャビシミュはやっぱ優秀。重心は下の方になりますが、デフォルト状態で既に前に出るサウンドを出してくれます。

+Pultec EQP-1A
play_circle_filled
pause_circle_filled
Synergy+UAD
volume_down
volume_up
volume_off

煌びやかさを生み低域を少しプッシュ。もっさり感が無くなり音像がクッキリしたと思います。たった2ノブでこうなるのはEQP-1A様様でございます。

ホント中域を弄らず上と下を触っただけ。超簡単。もっと微調整したかったり、より大きな変化が欲しければ、S_Zero100のグライコを使うのが良さそうです。

上下帯域のカットが出来るHLF-3Cもお気に入り。

Bogren MLC S_Zero100

Cantabile Lite
  • Bogren MLC S_Zero100
  • EQ プラグイン
  • Kazrog True Iron

家プレイ用ならもうコレで良い。実機に比べて違うのはダイナミクスと低音域。とは言えサウンド自体はリアルの領域。ブラインドテストしたら私には判別は無理ッス。

EQは今回チョイスしたものならば正直大差なくどれも使えます。それだけベースとなるサウンドがしっかりしているという事ですね。本当に質が高く音作りが楽。

そして余り言いたくないんですけど、実機よりも圧倒的に扱いやすい。セットアップも楽だし音色調整も簡単。それでいて出てくるサウンドも充分に良い。

これは…想定外だ。

サウンドチェック

素の音
play_circle_filled
pause_circle_filled
MLC
volume_down
volume_up
volume_off

今回キャビ部が同じと言う事で、Synergyと出音傾向は近いです。ギターサウンドの8割はキャビネットで決まるなんて言いますが、影響はマジでかいんすよねぇ。

最初からバランスの取れたサウンドではありますが、ローの膨張感が少し気になるかな。画像の通り低域は下げ気味なんですけど、Synergyより出てます。

また上の帯域が少しのっぺりしてる。

+Pultec EQP-1A
play_circle_filled
pause_circle_filled
MLC+UAD
volume_down
volume_up
volume_off

同じEQP-1Aを使っているので当然なんですが、音色調整の方向性はSynergyの時と一緒。ベースとなる音の太さを保ったまま上下帯域をトリートメント。

下をタイトにし上を明瞭化。生弾きだと明らかに元音とは違いモコつきなんかも感じず、これは物凄く良き!他のEQも全然使えるのでサウンドバリエーションは無限大。

Kazrog True Iron

マイフェイバリットプラグイン。

評価の高い6つのライントランスモデルをシミュレートしたプラグインです。アナログフレイバーを加味する系のプラグインですが結構薄味。

効果はどう言えば良いでしょうか。単純に太くなるというだけでなく、艶が出ると言いますか、とにかくなんかイイ感じに押し出してくれます(笑)。

このプラグインは私にとっては秘密兵器で最後段に必ずと言っていい程掛けます。今回もCantabile導入時点でこのプラグインの定位置行きは既に決定してましたね。

でも無くてもイイっちゃあイイ(笑)。

総評

実機をPCで使う場合、セッティングはもちろん、音作りにも手間が掛かります。Synergyはモジュール毎に個性が違い、都度調整が必要。やはり実機は直接キャビネットに接続してナンボですね。その方が楽だし音も圧倒的に良いです。

※追記…でも日を空けてじっくり聴いてみると、Synergyの音、悪くないよね。高域の抜けや音像の立体感など、実機のアドバンテージちゃんと出てる気がします。

で、ですよ。ソフトウェアアンプシミュレーターが素晴らし過ぎ。最近10製品程試したのですが気に入ったブランドがいくつもありました。PC上であればもう音的な問題や不満というのは個人的には“ない”と言えます。

そしてEQプラグイン。サウンド面に於いてモノによる差なんて大してありませんでした。微細な違いは確かに私も感じますが、そこにこだわりを持たないのは私があくまでも“プレイヤー”だからでしょう。

しかもメインはボーカリストだしね(笑)。

終わりに

今回のPCアンプ化計画はとにか〜く勉強になりました。ソフトウェアアンプシミュレーターの中には私も気に入るものが沢山あると知り、ポツポツ買っちゃいそうです。

あれ、アンプモデラー行かないの?と思われるかもしれませんが、悲しいかな、ホンモノのギタリストさんの方々の様なプレイ経験値がないから「あのアンプの音が欲しい!」とはならない訳です。知らないリアルさは求めようがない(笑)。

Synergyも実はBognerモジュールは衝動買いですから。弾いてみて初めてどういう音なのか知る…というのが私の日常茶飯事。だって買って後悔するハズはないもの。

またプラグインに対する偏見も今回薄まりました。古いというだけで“使えない認定”してしまうのは勿体ないですね。特にWavesには脱帽です。今回ご紹介してませんが、総じて“使える”プラグインだと再確認できました。

最後に注意点ですが、今回のはあくまでも“私の環境の場合”になります。使用する機材により生み出される音色は千差万別。サウンドの好みも人それぞれですからね。また、調整次第でどうとでもなっちゃいます。コレは真面目にホント。

それでは今回はこれにて。未熟な私めにお付き合い頂き感謝です。