ステム分離ツールを使えば打ち込み時短になるんじゃない?

さあAIよ、なんとかしてくれたまえ!
そんな都合いい製品…ある気はしておる。

物凄く賢い製品、“今ならば”出てるんでしょ?ってな事で色んな便利アイテムをリサーチ、試せるものは試してみよう!という回となります。

歌録音に必要不可欠なオケ。バックトラックの作成って結構時間費やしますからねぇ。私、お金で時間を買う準備は既に出来てます。ええやつあったらええですなぁ。

では行きましょう!

作戦

やりたいこと

私の現在の目標は、とにかく極限まで楽に歌を録音し音源として完成させる事、です。で今は沢山楽曲カバーしたいんですよね。

そこで目を付けたのが「ステムセパレーション」という技術。これはミキシングされ1つにまとまった音源を各パート毎に分離してくれるという優れもの。ボーカルだけ消してカラオケ作る、みたいな事によく使われています。

私的には、

  1. ステム分離
  2. 各分離音源をMidi化
  3. 他のVST音源に置き換え
  4. オリジナルオケ完成!

という流れを構築できればスーパー時短になる!と考えてる訳です。ネット上に公開するなら著作権もあり、歌抜きオケをまんまは使えない。スタジオなんかで歌練するのは滅茶苦茶捗ってますけどね。

望む機能

製品探しつつちょっとじっくり考察。今Studio One使っていて、内蔵機能としてステム分離自体は既に可能です。ボーカル、ベース、ドラム、他、という4つに分離できます。

現在市場では基本的にこの分離パターンの製品が最も多くあり、より細かい楽器の分離が出来る製品の方が高額で知名度もあります。単体アプリだけでなくWeb上で動作するものや、買い切り・サブスクそれは様々あります。

で、私の目的を考えると、どの楽器を分離出来るのかが重要です。基本4分離だと正直歌やギターの練習くらいにしか使えません。特に問題なのがドラム。Midi化→音源差し替えを考えると、ドラムの細分化が必須条件となります。

バスドラ、スネア、ハイハット、シンバルくらいの分離で、パターンだけ捉えてくれるだけでも全然OKですね。タムとかは流石に無理な気はしてます。フィルだけは手入力、それだけでも御の字。

また、ピアノなどの鍵盤の正確な分離もできてくれたら嬉しいなぁ。

必要な機能は?

で、コレは後から気付く事なのですが、ステム分離製品でもエクスポート機能に差があるんです。書き出しね。WAVには対応していてもMidi書き出しに対応しているものは極僅か。

もしかしたら、いや、ほぼ確でMidi変換する別アイテムも必要になることでしょう(汗)。

必要な機能は、

  • ステム分離…ドラム細分化できたら最高
  • Audio→Midi変換…和音対応なら最高

となります。シンプルながら中々ハードル高いんですよね実際。まあでも試して損はないので現行製品をいくつかトライアルしてみました。

ピックアップ製品

まず気になった製品を次々拾っていき、それら一つ一つの搭載機能を大まかに調べ、そこから更に絞り込んでいく作戦で行きました。

第一陣が↓

  • RipX DAW / Hit’n’mix
  • SpectraLayers / Steinberg
  • RX11 / iZotope
  • ReBeat / WaveMachine Labs
  • Drum Replacer / UVI,Steven Slate,Melda

やっぱ有名どころが残った感があります。で、一応リスト入りさせているRX11はそもそも4つにしか分離出来ないので脱落。各社から出てるDrum Replacerもドラムサウンドを置き換えたり個別調整が出来る便利プラグインですが、今回の目的とは方向性が違いますので✕。

残ったのは3製品。

RipXは私でもその存在を知ってました。SpectraLayersはSteinberg社の製品ということで期待度は一番高いです。ReBeatだけはかなりマイナーな製品だと思います。

今回はこの3製品をトライアルしてみました。テスト音源はB’zの「傷心」を使用しています。

正直なレビュー

RipX DAW PRO

仕様評価
使い易さ
ドラム分割
Midi書き出し
お値段¥33,759

まずはこの分野の先駆者的存在から参りましょう。今や超メジャー製品ですしどんなもんかと期待値バク上げ状態でトライアルへと突入したのですが、正直な感想は…

それ程でも無かった!(涙)

スマンね。細かく楽器の音を分離はしてくれますが、分離精度の高さに驚かされる、みたいな事はありませんでした。大まかに分離するだけなら個人的にはStudio Oneので充分。

一方私が求めるドラムサウンドの分離は、Kick(バスドラ)、Drums(中低音らへんの周波数帯)、Percussion(スネアやハイハット、シンバル等上の方の周波数帯)の3分割。

音がわりかし重なってます。ただ後処理が可能なのでより手間暇かければ明確化させていく事は可能でしょう。またステム分離時間も結構掛かります。今回1曲20分くらい。

良いところはBassやGuitarソロのような単音フレーズの分離がかなり高精度な事。奏者目線だと細かなフレーズチェックが出来るのでカバーする時とか、滅茶苦茶便利そう。

▼ハイ・レゾリューション
https://h-resolution.com/product-category/hitnmix/

SpectraLayers Pro 11

仕様評価
使い易さ
ドラム分割
Midi書き出し×
お値段¥41,800

まずコレ色々とバランスが良く使いやすいです。まず日本語対応なのが素晴らしい。ステム分離時間も短く、通常で5分、高速設定だと3分で終わりました。かと言って音質も悪くない。

ドラムの細分化機能も搭載。キック、スネア、ハイハット、シンバルと細かく分離する事が可能でサウンドも良好。正確にMidi化できるかと言われると難しいかも、ですがまあ明瞭です。

ボーカルもリードとコーラスを分離出来るなど凄く有用なんですが、ギターは割と色んな音が重なってしまいそこは残念な部分。シンセとかピアノとかが混じっちゃいます。

Go、Elementsといった低価格の下位バージョンもありますが、Pro以外はボーカルしか分離できないから選択肢にも入りませんです。

書き出しはWAVになるので、私の望みを叶えるためには別途Midi変換できるツールが必要になります。

ちなみにもう一つ苦言を呈するとすると、SpectraLayersをインストールすると、付随していろんなモノがインストールされます。どうにか1つに統合出来ないもんですかね?(笑)。ショートカットが量産されてるだけかもしれませんが、詳しく見てないんで分かりません。

↓↓↓

▼steinberg
https://www.steinberg.net/ja/spectralayers/

ReBeat

仕様評価
使い易さ
ドラム分割
Midi書き出し×
お値段$99

コチラはドラム専用のステム分離ツール。プラグインなのでDAW内で使う形です。ReStemからReBeatに改名の移行段階?的な印象。

まず曲を分離するために波形をプラグインに取り込む作業がいります。上画像、波形左横の赤ボタンがRECボタン。ボタン押して1曲丸々流し、そこから分離作業で約14分掛かります。

ただ、流石に専用を謳うだけあって非常に分離精度が高く、ドラムの分離に関しては今回の中で一番良かった。Midi出し出来たら最高なんですが…。抽出できるのはWAVファイルのみ。

また同社の製品、Drumgogという高品質ドラムサンプル音源との連携も可能です。

▼WaveMachine Labs
https://rebeatapp.com/

終わりに

今考えてるやりたい事を“パーフェクトに”実現出来る製品は現状…

ありませんでした

ただSpectraLayersは良かった。各製品それぞれ特徴があり価格も違いますが、今回試した中でダントツのマイベスト。使いやすさ、サウンド、機能の総合バランスが非常に素晴らしいと思います。

お値段はそこそこ張りますが、ソースネクストのSoundforgeにバンドルされてるものがあるみたいなので、そっちを狙うのが吉。割と頻繁にセールしますからね。

でもMidiに変換出来る製品の方もあんまないんすよねぇ。Melodyneも和音を扱えるのはeditor以上なんで僅かに手が届かない。私が所有してるのはassistantなのよ。まあそれでもまず精度テストは行っておかないとね。

Midi変換がへっぽこならばSpectraLayersを買う意味もない。ああ、まだ楽はできませんね(涙)。

※追記

ステム分離した単音メロディのボーカルラインをMelodyneに読み込ませMidi変換テストしてみましたが、実に残念な結果でした。超クリーンな音源でないと読み取り精度はかなり低くなりますね。

流石にコレは使えない。手直しする手間を考えたら最初から手入力した方が早いわあ。なので現状ステム分離ツールは必要ない!というお財布には優しい結論になりました。AI技術もまだまだだな。