ボーカル基礎知識 発声・声の種類について知ろう

ボーカリストの歌声は、まさしく生楽器。様々な音色を出すことができます。

ただ、地声のみで歌い続けている”普通のボーカリスト”で、世の中溢れかえっているのもまた事実。使ってもせいぜい裏声くらい。

これは能力的に「出したくても出せない」のか、それとも「存在自体を知らない」のか。音楽的に必要ではないと判断している方もいるかもしれません。

ここでは知らない人向けに、声の種類についてお話していきます。
訓練すれば誰でも扱えるようになるとは思うので、まず知ることから始めましょう!

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表声と裏声

①表声(地声)・チェストボイス

上の図(チェストボイス)は一般的な男性の音域になります。mid1C=C3です。

low、mid、hi、hihi、と表記していますが、男性の音域を説明するのに、最も理に適っていて説明しやすいので、今回これらを使用していきます。

チェストボイスとは、表声、いわゆる地声のことです。普段話している声や、低い成分を含む声のことです。胸に手を当てて独り言を言ってみて下さい。響いているのが分かると思います。

音域は個人差があり、多少上下すると思いますが、男性の場合、hiAは表声では出しにくい音です。mid2G辺りがキツイ人もいるかと思います。

まず、自分がどこまでチェストボイスで出せるのかを把握することが大切です。
これは「第一の音域」とも呼べます。

J-Popは、ほとんどがこの音域です。チェストボイスを引き上げて、hiA、hiBを出している歌い手も多くいます。これもボーカルテクニックのひとつですね。

ただし、このhiA、hiBはろくなトレーニングもせず、無理くり出しているとすぐに喉が潰れます(笑)。

②裏声・ファルセット

同じ図をもう一度。チェストボイスの限界から上の音域を出すことは出来ないのでしょうか?もちろん出来ますよね。裏声を使えば更に上の音を出すことが出来ると思います。

裏声はファルセットとも言います。ファルセットはチェストボイスよりもブレス量が多く、芯の無い細い声のことです。もう一度胸に手を当てて、今度はファルセットを出してみて下さい。

どうでしょう?胸にはほぼ響いていないと思います。これは綺麗なファルセットが出せている証拠です。チェストボイスと同じで、ファルセットの限界音を把握しましょう。

これが「第二の音域」です。そして非常に大切なことですが、ファルセットで出せる限界の音が、あなたの最高音になります。それ以上の音は出せないと思って下さい。

音域を広げるためには「第一の音域」「第二の音域」それぞれトレーニングしなければいけません。
使用する喉の筋肉も違いますので、個別練習は必須ですね。

ミックスボイス (Mixed Voice)

最近流行り?の言葉、ミックスボイス。これに関してはかなりの方が誤解しているものと思われます。

意味的には「裏声と表声をミックスさせる」ということで大丈夫です。具体的には、チェストボイスで出せない音域、つまりファルセットの音域を表声のように出す(聴かせる)ための発声法のことです。

では勘違いをズバッと切ってみましょう(笑)。

  • 歌が上手くなる
  • 高いキーで歌えるようになる
  • 楽して高音が出せる
  • パワフルな高音が出せる
  • 歌い疲れることはない
  • 魔法の発声方法

これらは全て間違い。まず、歌の上手さにはまったく関係ない。裏声の限界音が低ければそれ以上出る訳ない。ミックスで使用する喉の筋肉を鍛えなければ、か細いままですぐ枯れる。魔法なんてある訳ない。

これが出来れば「あのアーティストみたいに~」って、歌えるわけありまへん。

ミックスボイスは使用する音域により呼び方が変わります。順に見ていきましょう。

①ミドルボイス

前述しましたが、チェストボイスで出せる音域は個人差があります。mid2F,F#,G辺りになるでしょう。そこから上の音はファルセットの領域になります。

ファルセットを派生させた発声法が、ミックスボイスだと言えると思います。
ミドルボイスとは、hiBまでのミックスボイスのことを言います。

ミドルボイスを出すイメージは、上にある裏声に、表声の低い成分を下から持ち上げてくる、といった感じでしょうか。

個人的な感覚では、ファルセットは鼻頭に音が抜けているので、そのままの状態で喉の筋肉を持ち上げて、表声も一緒に鼻に抜けるように出す、って感じです。

ミドルボイスは「鼻」がポイント。パワーを出すには「喉力」だ!(笑)。

②ヘッドボイス

次にヘッドボイス。hiCから上のミックスボイスのことを言います。

で、正直このヘッドボイス、J-Popでは必要ないんではないかと。もちろん出せるにこしたことはありませんが、プロの国内男性ボーカリストでもあまり聴くことがありません。

少し名前を挙げると、X-JapanのToshi、ワンオクのTaka、ゆずの岩沢厚治。彼らは「hiE」辺りは出していますね。1音だけならもっと高い音も出せるかと思います。

B’zの稲葉浩志は「hihiA」まで出している楽曲があります。

ヘッドボイスは、ロック、ハードロックボーカリストがよく使用しています。特に、海外の有名バンドのほぼ全てのボーカリストは、当たり前のように使ってます。出来て当然の世界。

そして、ヘッドボイスを出せる人は、特別、トレーニングしていないと思います。感覚で出し方が分かるんです。これはまず間違いなく聴いてきた音楽、コピーしてきた楽曲、といった音楽環境で差が出ます。

ファルセットの限界音が高いことが条件ですが、歌好きで洋楽ロック好き、たくさんの曲を裏声で工夫しながら歌いまくってきた人は、自然と身についているものではないでしょうか。

どうしても身に付けたい人は

ヘッドボイスはほぼファルセットです。裏声を更に上へと引っ張り上げる感覚。楽に出せる感じはなく、結構喉に負担がかかります。あまり使わない筋肉ですから。

ミドルボイスは「鼻」辺りでしたが、ヘッドボイスは「眉間」辺りにファルセットが乗っているイメージ。そのままチェストボイスを加えていく、という感覚ではなく、太いファルセットを出す意識の方がいいと思います。

つまり、ファルセットを鍛えることが肝要だということです。

なので、たくさんのキーの高い楽曲を、ファルセットでガンガン歌いまくって下さい。徐々に同じ太さになるように真似しましょう。そういうボイトレ法を知っているなら、じっくりトレーニングしていきましょう。決して無理はしないように。

まとめ

今回は発声、声の種類についてのお話でした。

なんとかボイス、といった言葉分けにあまり神経質になる必要はないと思いますよ。そんな言葉知らなくても出せる人は出せるんです。基本は地声と裏声、なんですよ。

そして高い音を出すためのポイントは、ズバリ「裏声」、ファルセットです。

ファルセットを太くしたり、細くしたり、チェストボイスをファルセット化してみたり、意図してコントロールできれば自然となんちゃらボイスで歌えているものです。

これはこういう答えなんだ!、という頭の固い考えは捨てるべきだと思います。様々参考にしつつも、オリジナルボイスを作り上げる意識でいきましょー。

後、女性の方々、メンズの話ばかりで申し訳ありません。女性ボイスの確固たる知識が無いもので、語れませんです、ハイ(。-人-。)

それでは今回はこの辺で。Good-bye!