Mixed Voice 裏声を巧みに操る達人たちから学ぶ!

今回はミックスボイスのお話。

ボーカリストを目指す、或いは既にバンドなどでボーカルを担当している方。間違いなく「高音域を出せるようになりたい」と思ったことがあるハズ。

そしてネット検索などで辿り着いた言葉が「ミックスボイス」じゃないでしょうか?そしてやり方だけを知ろうとする、どういうものかも知らないままに・・・。出来る訳ないじゃん(笑)。

そんな迷い人の方々への第一歩、今回はまず知ろう!ということを目的とした内容となっております。

ミックスボイスの胆は裏声にあります。その裏声を工夫して、様々なヴォイスを作り上げている一流ボーカリストたち。ハッキリ言って、そこらのボイトレ講師より絶対参考になるでしょう。

裏声を上手に使ってハイトーンを出している、ひじょ~~に分かりやすいボーカリストをピックアップしてみました。その分クセが強いのですが、好き嫌いは関係なく、学ぶつもりで是非一度は聴いてみて下さい。

真似するだけでコツが掴めるかもよ。

※当サイトではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています。

アクセル・ローズ Axl Rose

ご存知?Guns N’ Roses(ガンズ・アンド・ローゼス)のボーカル。

この人は外せない。裏声成分めちゃ多く、一聴すると「ペラペラでパワーの無い歌い方」と感じること必須。ですがこれは彼がハイトーンを出すために工夫して生み出した、まさにオリジナルボイス

このアルバムで学ぶ!


Appetite For Destruction (1987)

The ロックの名盤。捨て曲一切無しの純粋に素晴らしい作品。

この作品の中にアクセル・ローズの魅力とテクニックが詰め込まれています。パッと聴くと「ボーカル変」と切ってしまうかもしれません。ですがこれ程素晴らしいお手本をスルーするのは本当に勿体ない。

It’s So Easy」「Mr.Brownstone」で彼のチェストボイス(地声)を聴けますが、超低いです。福山雅治ばりに低いです。ですが彼は超高音域を出せる裏声という武器を備えていた。これがまず絶対条件。裏声で出せる音域が低いとそこが限界となります。ですので、裏声のキーを上げる特訓が必要な方もいるでしょう。

Nightrain」は一般的なキーの高さですが、彼は既にミックス使ってます。サビはヘッドボイスですが、これが強烈なオリジナリティを生み出しています。普通の発声ではありませんから。

そしてオススメの練習曲は「Paradice City」。随所に高音で伸ばす箇所があるんですが、その部分を真似るだけでミックスボイスのコツを掴めると思いますよ。特にテンポアップ前のハイトーン部分。喉の下の方で実音成分を出しながら、鼻や眉間辺りから裏声成分を抜けさす、言葉で言ったらこんなイメージ(-_-;)

よりパワーを出すなら、鼻から抜ける裏声成分を減らし、喉で支えている実音に比重を置く。なので楽ではないですよ。事実、近年のガンズのライブでは、アクセル・ローズ超キツそうです。

ブライアン・ジョンソン Brian Johnson

こちらも超ビッグバンド、AC/DCの2代目ボーカリスト。

ブライアン・ジョンソンがAC/DCに加入直後発表した「Back In Black」が、全世界で売り上げ2位を記録。バンドとしては堂々第1位。そんな彼も素晴らしい先生の一人です。

このアルバムで学ぶ!


AC/DC LIVE (1992)

AC/DCのスタンスとして、ベスト盤は出さないようです。ですがこの作品はまさにベスト盤。ライブパフォーマンスの高さも並みのバンドではない。テクニカルなバンドではありませんが、聴く人が聴けば分かる上手さがあります。

ライブアルバムですので、よりリアルにブライアンの歌唱を聴けます。彼も裏声使いの達人です。アクセル・ローズよりも地声成分がやや多めで、シャガレているのが特徴的。彼の地声も低いですよ。

Back In Black」は超有名な曲。全部シャウトしてるかのようなハイトーンが続きますが、「B」などの歌詞の部分では破裂音を活かし、強弱を見事につけていることに驚きです。ミックスとはいえ、かなりのパワー感を出しています。

The Jack」はブルース調の楽曲。こういう同じ進行が続く曲はボーカリストの見せ所、聴かせ所です。ポイントはサビ前の前半部。ハッキリとした実音を出している訳ではなく、微妙な加減で裏声を混ぜています。チェストボイスとミックスボイスを自在に行き来しています。学ぶことが多いオススメの楽曲ですよ。

他にも「Hells Bells」や「Whole Lotta Rosie」「Highway To Hell」等、これぞロック!といった楽曲も多く、ロックボーカリストの方には特にオススメの練習アルバムです。

デイヴィッド・カヴァーデイル David Coverdale

本格派のボーカリストです。カヴァーデイルと言えばディープ・パープルの印象が強いと思いますが、個人的にはホワイトスネイク時(初期)の頃のスタイルが好みでございます。

ただ今回のお題的に、よりミックスが分かりやすいマニアックなものをチョイス。

このアルバムで学ぶ!


Coverdale・Page (1993)

夢の共演作!レッド・ツェッペリンのギタリスト、ジミー・ペイジとタッグを組み生み出されたアルバム。2人の名前で出されたのはコレ1枚だけ。

カヴァーデイルと同じように歌い切るのは困難かと思いますが、2つの声質をハッキリ使い分けているのが非常によく分かる曲がありますので、聴くだけでも勉強になりますよ。

1曲目の「Shake My Tree」は前半チェストボイス、後半ミックスボイスと完璧に別れてます。まぁほぼヘッドボイスですけど(笑)。聴いてもらいたいポイントは、実音と裏声の配分加減。先に紹介した2人とはまた違うことが分かると思います。よりパワーがあります。彼ほどのハイトーンではなくても、最終的には到達したい発声法です。

Pride And Joy」も同じ構成。2つの発声法を聴けます。楽曲のクオリティも高く練習しやすいのでオススメです。声が出るのなら、一番最後のフレーズのみ練習するのもアリですね。最後はシャウトで絞めているんですが、もしかしたらシャウトを習得する事がミックスボイスを習得、理解する一番の近道かも知れません。

ホワイトスネイクの「Here I Go Again」にも1発シャウトがあります。コチラもミックス理解するのにオススメ。

裏声練習<実践編>

上記した御三方、キーが高いですよね。「練習したくても歌えないよ」「もっと低いキーの曲無いの?」という声が聞こえてきそうです(-_-;)

そこで裏声練習の取っ掛かりとして、最適な曲をピックアップしてみます。何も馬鹿高い高音域だけが裏声を使う場面ではありません。

私自身、そういったことを学べ、今でもよく練習している曲です。

おすすめ練習曲


B’z 「Friends Ⅱ」(1996)

B’zのミニアルバム。このシリーズまた出してくれないですかね。大好き。あったかくも切なく、物語性のある良曲揃い。ボーカルはもちろん稲葉浩志。その表現力の高さがたっぷりと詰まってます。

オススメの練習曲は「Snow」。地声でも出しやすいであろう音域を、敢えて裏声を混ぜて歌っています。しかも全て同じ歌い方ではなく、完全な裏声、地声、両方ミックスしたもの、と巧みに裏声の量をコントロールしています。

喉で実音を下支えしながら、上の方にファルセットを被せる、この感覚。コレを掴むためには本当にいい練習曲です。このコツさえ身に付けてしまえば、高い音だろうが基本出し方は同じです。

傷心」では本来の意味でのミックスボイスを聴くことも出来ます。特に後半部の英語のアドリブの箇所に注目して聴いてみて下さい。シャウトはクソ高いヘッドボイスですけどね(笑)。

まずは「Snow」を実際に練習してみることをオススメします。その後高いキーの楽曲にも徐々に挑戦してみましょう。

終わりに

今回は「どういうものか知ることから」という視点で記事にしてみました。

以前書いたボーカル基礎知識でも述べましたが、「ミックスボイス」という単語に固執する必要性は全くありません。根本は、高い音を出すための工夫にあるのです。便宜上、名前分けした方が分かりやすいというだけ。知識として持っておくだけで大丈夫です。

ただ、地声以上の高音を出すためには「ファルセットコントロール」がやはり重要になります。今回ご紹介したボーカリストたちを聴いてもらえれば、何となくでも発声に共通点があることが分かるかと思います。

ガンガン裏声を特訓して、ミックスのコツを掴みましょう。そこから自分の音域やスタイルに合わせて、各々工夫して魅惑のオリジナルボイスを目指して欲しいと思います。

新たなボイスの誕生を期待しつつ、皆様に負けぬように私も努力し続けて参ります!
それでは今回はここまで。最後までお読み頂き、有難うございました。