自宅録音するボーカリスト様へ

拝啓、宅録大好きな歌い手の皆々様方。いかがお過ごしでしょうか?

昨今、歌をレコーディングする敷居は低くなり、誰でも好きな時に好きな場所で録音が可能になりました。私も長らく家録り派。マイルームから出るのが非常に面倒くさくそれが普通でした。

家で歌録りしてた時も特に何も感じなかったのですが、今思うとそれでは本当にダメダメ。色んな意味で成長しません。

や、私も最近気付いたのですが(笑)。

それを宅ロッカーの皆様にシェアしたい衝動に駆られ、今回筆を執っておるのです!溢れ出る想いを書き殴るので整合性が怪しい部分もあるかもですが、ごゆるりとお付き合い下され。

はじめに

今回はボーカル録音時に問題となるノイズがどう、反響音がどう、という小難しい話がメインではありません。勿論それも考えるべき大切な事ではありますが、より根本的な問題として認識しておくべき事があります。

端的に言うと“環境”

これはどんな分野においても言える事かもしれませんが、環境が人を育てます。より良い環境に身を置く事で学びの質も高まり、将来の成長曲線も大きく変わると思います。

成長しない理由

まず先に解を。

一般的な自宅の部屋で歌う場合、(良識ある人間ならば)ナチュラルに声量を抑えてしまうんです。狭いし隣人様もおられますから。これは録音のみならず、練習においてもあまりよろしくありません。

※滅茶苦茶田舎に住んでて周りに誰も居ない、とか超大金持ちで部屋がどデカい、とかなら大丈夫でしょうが。

カラオケで歌うのが主目的であれば全くもって問題ありませんが、シンガー、ボーカリストとしての歌唱力を得たいのであれば本意気で歌える環境を見つけましょう。

部屋で歌うデメリット

声量を無意識に抑えてしまう事による悪影響をいくつか挙げてみます。

  • ナチュラルコンプの技術を習得
  • 抑揚がなくなる
  • 音程をとれているつもりになる
  • 声量が増えない
  • 機材の本当の使い方が身に付かない

ナチュラルコンプという表現は私が作りましたが、意味的には無意識に声量を抑えてしまう歌唱。自身に制限を課してる状態で、残念ながらミリも成長しておらず、最悪それで歌い方を形作ってしまう可能性もあります。

声を張るべきところで“張ってるつもり”状態。抑揚もない平べったい歌唱。音程の面でも自然とファルセット気味になっていたり、本来その音を出すための望ましい声量で取ってる音程ではないので、実は“歌えているつもり”になってる可能性が高いです。

で、最後の「機材の使い方が身に付かない」というのがかなり致命的な事だと私的には考えます。

録音時に使用する機材

  • マイク + ポップガード
  • ヘッドフォン
  • オーディオインターフェース
  • パソコン (スマホ/タブレット)
  • マイクプリアンプなど

歌を録音する際に使うのは大体上記の様なもの。使用する製品は様々なのでそこはお好み。で、この中で重要度の高い機材は何かと問われれば、私はマイクとヘッドフォンだと答えます。

マイクモデルによってゲインも違えば周波数の特性も変わります。使用するマイクの種類で各機材の設定だけでなく、歌い方そのものを変える必要が出てくる事もあります。

そして、ヘッドフォンはハッキリ言って異物。ヘッドフォンを装着して歌うのはアカペラで歌うよりもはるかに難易度が高いです。歌い手にとってヘッドフォン慣れは必須技能ですよ(笑)。

どこで歌えば良い?

A : 大きな声で歌えるところ。

練習なら、リバーブ絞ってオケとマイクの音量バランスを取れるのであればカラオケでもまあ良いとは思いますが、オススメはやはり音楽スタジオです。リハスタというヤツですな。

練習もレコーディングもOKな空間。ミキサーの使い方を覚えたり、スタジオモニター直の音なんかは絶対知っておくべきですね。お気に入りの部屋を見つけ使い慣れるのは凄くオススメです。

難点は近場のスタジオまでの距離問題と、当然ながら利用料が掛かります。遠すぎると通い続ける為の意志の強さが必要で、私にはソレが無い(笑)。今は凄い近くにスタジオがあるのですb

◯結論

スタジオを使おう!

マイクとヘッドフォン

ボーカルレコーディングの際必ず必要になるこの2つのイクイップメント。使いこなせるようになればベースの歌唱力にプラス補正を掛けるくらいの効果があると思います。

ゲーム的に考えるとこれらは“装備品”です。ものにより効果に差がありますし、自身のスキルレベルが不足してると本領を発揮できません。

ここからはそれぞれ何に気を付け、どう扱えばいいのか。私なりに掴んだ事をお伝えしたいと思います。私もまだまだ道半ばなので、共にレベルアップを目指しましょう!

マイク

まずはマイク。マイクなんてただ声を収音するだけの機材でしょお〜、というのはまあ正解です(笑)。大事なのはマイクを使った発声が出来るかどうか。ダイナミック、コンデンサーとかは関係ない。

  • 発声(自分)
  • 収音(マイク)
  • 調整(ミキサー/DAW)
  • 出音(スピーカー/ヘッドフォン)

練習時、録音時、大雑把ではありますが発声した音は基本的にはこの流れで自分の耳に返ってきます。で“発声”と“返り”のバランスというのが非常に重要で滅茶苦茶パフォーマンスに影響します。

生バンドやオケで歌う際はスピーカーから、録音時にはヘッドフォンで音を聴きます。本来は自分の力を最大限発揮できるように音量バランスを取るのですが、家で身につけた歌唱法では上手くいかないハズです。

しかも自分の声だけ聴いていれば良い訳ではなく、オケやらバンドの音も鳴ってますから、中々に耳は大変なんです。

ヘッドフォン

続いてヘッドフォン。レコーディングの際にはコレを頭に掛けて歌います。マイクに声以外の余計な音が入らない様にする為に絶対必要。

ヘッドフォンはある程度質にもこだわった方がいいかな。個人的には“歌いやすい”と感じるものがオススメです。歌録特化で使用するなら別にフラットな特性じゃなくても構わないと思います。

耳を覆う物体から音を聞くというのは違和感以外の何物でもなく、その感覚を打破するにはもう慣れるしかない。各使用機材への理解度も深まるので素直に録音しまくるのがオススメです。

アドバイス

では偉そうにアドバイス。私が思う、ボーカル録音上達の為の必須事項です。

  • 自分の本領を発揮出来る声量を把握
  • その声量に合わせて音量バランスをとる
  • アカペラの“聞こえ”に近づける

己を知る

まずは自分の実力を知る。全力で歌える環境じゃないと絶対に気付けない。しっかり歌表現できる声量がどのくらいなのかを掴み、その状態で得意な音域や音程感を確認しましょう。

注意点としてリキんではダメ。この辺の説明はマジで凄く難しい部分。音量を出すために力を入れようとするのは実は自然なんです。でも声量をアップさせる事とリキむ事は全くの別モノ。違う行為。

よく“声を遠くに飛ばすように”みたいなアドバイスがあるかと思いますが、私の場合自分の声の位置は基本近くに置きたいですね。感覚的な話ですが、声を顔にまとわりつかせる様なイメージで歌ってます。

ウォームアップの時点で力んでる事なんて全然ありますから、喉に思い出してもらう感じで修正しつつ徐々に上げていきます。

ただ声量を上げつつ普段通りに歌う、というのは微妙に矛盾してる感もあるので、正直なところ中々に難しい技術だとは思いますね。

音量のバランス

自分の歌が最も輝く声量を把握できたら後は練習するのみです。マイクを通しヘッドフォンから返ってくる音に慣れましょう。

で、ここで大事になるのが“音量のバランス”てす。マイクに入力する音量とヘッドフォンに出力する音量の最適解を見つけましょう。そこがテキトーだと実力が出しにくい状態となります。

返りの音が大き過ぎると、ここでも無意識的に声を抑えたくなる衝動に駆られると思いますし、逆に小さ過ぎるとリキみやすくなります。

調整のコツというか、私の場合、録音時にはクリップしないように!という意識は取り敢えず後回しにし、自分の声量を第一に考え音量調整していきます。当然録音する楽曲を考慮したりもしますが、自分主導なのは変わりません。そこから周りの音を整えていく感じです。

自分→オケ→トータル、みたいな流れ。個人だと自己中でイイっしょ。バンドメンバーとかがいるとまたやり方変わると思いますけどね。

アカペラの聞こえ

何度も言いますが、ヘッドフォンからの聞こえはパフォーマンスに直結する重要な要素です。発声と聞こえのバランスはやはりアカペラに近付けるのがオススメです。

マイクなし、自分の声がダイレクトに耳に入る状態が最も歌いやすく「自分イチ上手い」と思いませんか?発声量に対しての返りの音量に違和感がなくなるポイントが必ずありますので、そこを見つけましょう。

私の場合、設定ルーティーンみたいなものが徐々にできてきています。ウォームアップしつつ力まず高域シャウトできる音量を確認しつつ調整。次にそれでクリップしない物理的なマイク距離を掴みます(立ち位置決め)。その後DAW側のオケを基本絞りながら歌いやすいポイントを探り、最後に全体の音量の上げ下げを行います。

同じ機材で何度もやってると、もう基本設定自体が固定できるので、やればやるだけ自分流の完成に近付いていけるハズです。

まとめ

いやぁ~、実際私もまだまだなんですよ。抑えて歌う癖が抜けてないとこ全然ある。なんで今はスタジオで歌いまくっています。

では、今回のお話しまとめ。

一、歌う環境が大事
一、マイクで歌いヘッドフォンで聴く
一、音量バランス
一、楽しむ

各項目、よく考えると割と当たり前の事しか言ってないのですが(笑)、ひきこもってると中々気付きにくいのではないでしょうか。

人は現状に慣れてしまうとソレで良し!という頭にどうしてもなってしまうと思います。歌い手の宅録常態化は大変勿体なく、そして致命的になりかねない。超低いキーの楽曲しか歌わないのなら大丈夫だと思いますが、やっぱスタジオに行きましょう。

それでは、長々としたお話しにお付き合い下さり有り難うございました。

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ナナシノ
音楽総合情報サイトを目指しスタートした当サイト。気付けば好きな事を本能のまま垂れ流すサイトと化し、今や「ギター初心者放浪記」(笑)。 生きた証を残すため、止めるつもりは毛頭なし!